中世の歴史を描く漫画『チェーザレ 破壊の創造者』

『チェーザレ 破壊の創造者』は、実在の人物チェーザレ・ボルジアを主人公にした漫画です。物語の舞台は15世紀後半、コロンブスがアメリカ大陸に到達したのと同時代です。ボルジア家は、スペインの有力貴族で、ローマでも権力をふるっていました。ボルジア家出身でカトリックの教皇にまで上り詰めた男の私生児として生まれたチェーザレも、政治家として武将として活躍しました。哲学者マキャベリに「理想の君主」と称えられたチェーザレですが、歴史の流れの中では敗残者であるため、後世には悪い噂と共に伝えられることもありました。この漫画は、そのようなチェーザレの人物像に新しい光を当てようとしています。

1巻から10巻では、まだ10代のチェーザレが描かれています。イタリアのピサの大学生だったころのお話です。物語の語り手は、アンジェロというフィレンツェ出身の若者です。アンジェロは、歴史上の人物ではないようです。中世のお話で、チェーザレのような必要であれば冷酷無比になれる人物の物語とくれば、血なまぐさい展開になりそうですが、心優しいアンジェロの存在が物語を明るく柔らかくしてくれます。

絵柄は、きれいなのですが、人物がちょっと女性向け漫画の絵柄の感じがして、少し苦手です。でも、背景には目を奪われます。中世の街並みや教会、登場人物の服装もしっかり描いてあって、そこを見るだけでも楽しいです。当時を忠実に再現するため、作者は多くの文献を読み込んでいるそうです。

じっくり楽しめる漫画だと思います。