BUZZER BEATER

「スラムダンク」や「リアル」など、数々のメガヒット作品で知られる井上 雄彦氏による近未来SF漫画です。井上氏のラインナップからすれば異色と言っていいと思います。

本作の特徴は、近未来、様々な宇宙人との接触、交流を果たしている世界を描いているために、現実のバスケでも大きな要素である「人種差」がほとんど決定的なものとして存在しているという点です。その優劣によって支配関係が生まれず、戦争にならなかったとしても完全実力主義のスポーツの世界はあまりに残酷にその差を見せつけます。
しかし、ヒデヨシたち地球チームがその不利を覆すべく宇宙相手に戦いを挑み続けるわけですが、チームの要であるDTは、実は生粋の地球人ではなくゴル星人で、身体能力の根拠たる角を折ったという経験者、そしてヒデヨシ自身もゴル星人であり、急成長とともに違和感に悩まされることになるわけです。

本作では日本人かアメリカ人か、ましてや肌の色での区別意識は希薄です。このことは、今人類に存在している多くの壁は、宇宙人というより大きな変化の幅を持つ存在を認めた瞬間に消える程度のものだし、地球人と最強のゴル星人の区別も少年期には容易につかないという現実からは、巨大な「差」すらわずかなものでしかないというメッセージのようにも感じます。
そして自分がゴル星人であることに気付いたヒデヨシの決断からは、地球人的ナショナリズムにも縛られていないことを示してもいます。

バスケシーンはさすがの迫力で、このレベルの試合が続いているのだとすれば、将来にわたってもバスケットボールが人気スポーツなことにも頷けます。近未来を舞台にしながらも、スポーツと人種という根本的な要素に踏み込んだ、社会派的な要素が強い一作とも言えるでしょう。

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